ヒメマルカツオブシムシ
ヒメマルカツオブシムシは甲虫目カツオブシムシ科に属する昆虫です。
幼虫は世界的な衣類害虫として有名で、毛皮や羊毛などを好んで食害します。
植物繊維や合成繊維は比較的加害されにくいのですが、汗や垢で汚れた部分は
被害に遭います。他にも昆虫標本や動物の剥製などの乾燥動物質も加害します。
一方で成虫は花の蜜や花粉を餌にしており、マーガレットやハルジオンなどの
白い花に集まります。
幼虫の体型は楕円形で体のあちこちから短い毛が生えており、一見すると
タワシのような格好です。成長すると4~5mm程の大きさになり、体色は茶褐色と
クリーム色のストライプ模様です。
成虫は体長が3mm程で、小さなテントウムシのような姿をしています。英名で
variegated carpet beetle(絨毯につくまだら模様の甲虫)と呼ばれるように
体色は白・黒・黄褐色のまだら模様です。
幼虫で越冬し、蛹化は3~4月頃に行われ、成虫は4~5月頃に見られます。
幼虫期は箪笥やクローゼットの中など人目につきにくい暗所で生活しています。
成虫期も交尾・産卵を済ませるまでは暗所を好みますが、その後は一転し、
明るい場所を目指して移動する習性を持ちます。春から初夏にかけての時期は、
窓際で成虫の死骸を見かけることがあります。恐らく外からの光を頼りに
窓辺まで辿り着いたものの、屋外に脱出できずに死亡したものと思われます。
ただ、前述の通り交尾・産卵を済ませた個体が野外へと飛び立っていきますので
既にどこかで産卵を終えている可能性もあります。
対策は、箪笥やクローゼットなど衣類をしまう場所には防虫剤を入れておき、
発生を予防することが基本です。また、防虫剤は有効期限を定期的に点検して
効果が切れていないか確認しましょう。他にも、一般に昆虫類は50℃以上の
高温条件下では短時間で死亡するため、乾燥機にかけてしまう手もあります。
ただ、一度にたくさん詰め込むと奥の方まで十分に加熱できず、致死効果が
得られないこともありますので、ご注意ください。
最後に、衣類によってはデリケートな素材を使用しているものもあります。
防虫剤や乾燥機を使用の際は、服の裏についているラベルの注意事項を確認し、
問題がないことをお確かめください。