トコジラミの復活4
■ トコジラミの復活 最終章『トコジラミの防除』
これから紹介するトコジラミの防除は,これまでの章でお伝えしてきた特徴を考慮した方法です.この方法は渡辺先生(2009)が私案された方法なので1つの方法として参考にして下さい.その前にこれまでにお伝えした防除に関わるであろうトコジラミの特徴を再度明記します.
▼特徴▼
①昼間は壁や柱の隙間,床板や畳の間,ベッドの中,カーテンの重なった部分などに群がって潜んでいる
②家具や荷物などに紛れ込んで拡散している
③卵期間は5~6日
④32℃で活発に行動,40℃で徐々に死亡する個体が現れ,50℃の蒸気では10秒以内,ドライヤーの熱風でも1分で死亡する.
⑤有機リン系のフェニトロチオンやDDVPでは駆除効果は望めるものの抵抗性比が5~6倍認められている
⑥ピレスロイド系のものでは,一般的によく使用されているペルメトリンやフェノトリンでは全く効果が期待できない場合もある
⑦トコジラミの背面への薬剤処理では効かなかった薬剤(ピレスロイド系)も,腹面処理では効果が期待できる
以上のことを踏まえ以下の方法が提唱されました.
◎ 旅館・ホテルの場合
1)トコジラミの生息している部屋の使用をやめる
2)家具調度品を搬出して,1~0.5%の乳剤・水性剤を生息箇所に薬剤が逆流する程度吹き込む有機リン系の方が効果は期待できるがトコジラミを濡らす様に施工できればピレスロイド剤でも良い
3)搬出した家具調度品は使いまわさない
4)可能であればエアコンで室温を30℃以上にし(積極的に徘徊させる),生息箇所に薬剤を処理する
◎ 一般住宅の場合
1)薬剤が使用できる場合は,まず徹底的な清掃を行い「旅館・ホテルの場合」と同様の方法を行なう
2)薬剤が使えない場合は,室温を30℃にして掃除機による吸引を行なう
3)ヘアードライヤーによる熱殺虫も併用する
駆除期間は徹底的に行なえば1週間程度で終了できると考えられています.とはいえ1度の処理だけでは駆除は困難であるため,トコジラミの卵期間などを考慮しながら数回繰り返すことが良いでしょう.
こういった方法以外にも海外では熱風機を使用して部屋や家屋をまるごと高温にする方法や,高温スチームで熱殺虫する方法,パウダー状のドライアイスを散布して冷却殺虫するクライオナイトなどの物理的殺虫法も用いられています.